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「右側からの呼びかけは聞こえるのに、左側からだとうまく聞き取れない…」
「左耳だと電話はハッキリ聞こえるのに、右耳だと何だか聞こえづらい」
このような場合、難聴が片耳だけに起こっているのかもしれません。
片耳のみに難聴の症状がある方の中には、一方の耳は「聞こえる」ので、片耳の聞こえにくさを放置してしまう方もいらっしゃいます。
本記事では、片耳難聴の場合に困ることと、補聴器で難聴側の片耳をサポートする方法を紹介しています。
難聴側の聴力を補う方法と「聞こえる」側の聴力を守る方法を知って、片耳難聴を持つご家族様の生活の質を向上させましょう。
難聴が片耳の場合に困ること
難聴は両耳に同時に起こる場合と、片耳にだけ起こる場合があります。
片耳のみの難聴では、聞こえる側の耳によって、ある程度の聴覚情報が得られるため、両耳の難聴とはまた違った悩みや困りごとがあります。
よくある困りごとは、次の4つです。
- ・聞こえにくい側から話しかけられるとわからない
- ・騒がしい場所で聞こえにくい
- ・声や音の方向感が掴みにくい
- ・音源定位ができず交通事故リスクが高まる
ここからは、難聴が片耳の場合に困ることを紹介します。
聞こえにくい側から話しかけられるとわからない
もっともよくある困りごとは、聞こえにくい側から話しかけられると、内容がわからないということです。
聞こえにくい方の耳に向かって話しかけられても、自分の頭が壁のように音声を遮る(頭部陰影効果)ので、聞こえる方の耳にも、音声が届きにくくなります。
また、集中したい時に聞こえにくい耳よりも、聞こえる耳からの音声などが気になるため、気が散ってどっと疲れる・聞こえにくい側の情報がより伝わりにくくなる、というのも、よくある悩みです。
騒がしい場所で聞こえにくい
騒がしい場所で聞こえにくいのも、片耳難聴の方のよくある悩みです。
両耳が聞こえる方の場合、聴覚から得られる情報は膨大な量になるため、脳は省エネのために「自分にとって必要な情報」だけを瞬時に判断して聞き取っています。
これを「カクテルパーティー効果」といいます。電車のアナウンスや病院での呼び出しが聞き取れたり、騒がしい中でも会話出来るのは、このカクテルパーティー効果によるものです。
しかし、片耳難聴の方は、カクテルパーティー効果が得られないため、騒がしい場所で必要な情報を聞き取るのに困難を覚えます。その結果、外出そのものを控えてしまったり、「会話にうまく入れないから」と言って他人との会話を避けると、聴覚刺激や思考の回数がどんどん減り、認知症が進行する可能性もあります。
認知症を予防するためにも、難聴が片耳だけであったとしても聴覚を補ってあげましょう。
難聴と認知症の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
音源定位ができず交通事故リスクが高まる
音源定位とは、脳が音の微妙な強さや時間を区別し、音が、どの方角から聞こえているのか判断する能力を指します。
耳は、頭を挟んで両側についているため、振動が脳に届くまでの微妙な時間差や強さを脳で分析しています。
したがって、音源定位には、両耳の聴力が必要です。
片側の耳が難聴の場合、左右の耳から入る音の違いを分析できないため、音源がどこから来ているのか、判断できません。
それゆえ、車のエンジン音や走行音が聞こえても、車がどこから来ているか解らないため、危険を伴い、交通事故リスクが高まります。
交通事故リスクを下げるためにも、片耳が難聴の場合は聴力を補うことが重要です。
補聴器で難聴の片耳をサポートする方法
難聴が片耳だけであっても、補聴器による聴力サポートは必要です。
ここからは、補聴器で難聴の片耳をサポートする方法を紹介します。
片耳難聴に使える補聴器機を使う
補聴器は両耳難聴の方が使うもの、というイメージがありますが、片耳難聴でも補聴器は利用できます。
一般的な耳掛け型・耳あな型の他、クロス補聴器という「難聴側から聞こえる音を聞こえる側の耳で聞き取る」ための補聴器もあります。
両耳に装用する
難聴の片耳を補聴器でサポートする場合に、難聴側だけではなく、聞こえる側の耳にも補聴器を装着する場合があります。
難聴にもレベルがあります。ご自身では「聞こえている」と思っていても、測定の結果、レベルの違いはあれど両耳とも難聴がある場合は、補聴器を両耳に装用するとより効果的です。
補聴器は、買ったからといってすぐに「聞こえる」わけではありません。
購入後も何度か補聴器店に通い、自分の聴力に合わせて調整をする必要があります。
自分に合った補聴器を選び、継続してメンテナンスを受けるためには、補聴器専門店での購入が一番です。
補聴器専門店では、難聴が片耳だけの方でも使いやすい補聴器も取り揃えております。どうぞお気軽にご相談ください。
【両耳が聞こえにくくなる前に両耳の聞こえのケアをしませんか?】
難聴が片耳に起こる(一側ろう)原因
難聴が片耳だけに起こる場合、いくつかの原因が考えられます。
具体的には、以下の6つです。
- ・先天性(生まれつき)
- ・ムンプス難聴
- ・突発性難聴
- ・メニエール病
- ・慢性中耳炎
- ・音響性難聴
ここからは、片耳難聴の原因を解説します。
先天性(生まれつき)
蝸牛神経(聞こえ方を司るかたつむり型の器官)の低形成など、先天的な原因によって、生まれつき片耳が難聴の方もいます。
また、出生時や出生後に、母親の胎盤や母乳を通じてCMVウイルス(サイトメガロウイルス)に感染すると難聴になることもあります。
ムンプス難聴
ムンプス(おたふく風邪)が原因で難聴になるムンプス難聴があります。
ムンプス難聴はほとんどが片側難聴で、91%以上が重度の難聴という調査結果が出ています。(参考『2015~2016年のムンプス流行時に発症したムンプス難聴症例の全国調査』/日本耳鼻咽喉科学会福祉医療・乳幼児委員会)
ムンプス難聴の発症者には、罹患した子どものほか、看病した養育者の発症も考えられています。
突発性難聴
突発性難聴は、ある日突然耳が塞がったように片側だけ聞こえにくくなる症状で、原因は現在特定されていません。
20~50代を中心に、すべての年代で起こる可能性があると言われています。
突発性難聴は、症状が出た場合、すみやかな治療が改善のカギとなるため、耳が突然聞こえにくくなったら、すぐに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
メニエール病
メニエール病による片側難聴もあります。
メニエール病とは、内耳のリンパ液が増えすぎて起こる病気で、30~40代の女性に起こりやすい病気です。
回転性のめまいが10分から数時間ほど続き、耳鳴りを伴う方も多いのが特徴で、耳が詰まったような感じで、低音から聞こえにくくなります。
メニエール病による難聴は、早期発見と適切な治療で1/3は完治すると言われています。
慢性中耳炎
慢性中耳炎では、耳漏によって鼓膜の穴が塞がらなくなります。
鼓膜に穴が空いた状態が続くことで、鼓膜の粘膜が厚くなったり石灰化したりして、耳小骨の動きが低下し、音の振動が伝わりにくくなります(伝音難聴)。
また、慢性中耳炎による炎症で、蝸牛の機能が徐々に低下することもあり(感音難聴)、音の振動があっても認識できなくなり、聞こえにくさにつながることもあります。
音響性難聴
大きな音を片耳で聞いた場合、片耳が難聴になることがあります。音響性難聴は、別名「音響外傷」ともいい、大きな音を聴き続けることで、内耳の「蝸牛」という器官にある有毛細胞が傷つき、壊れて音を感じにくくなる症状のことです。
例えば、音楽ライブで右側だけスピーカーの近くにさらされたり、イヤホンをいつも同じ側の耳に着けていたり、趣味で射撃を行う方に起こりやすい症状と言えます。
難聴が片耳で困ること|まとめ
片耳のみ難聴をお持ちの方が困ることは、音の聞き分けがうまくできず、騒がしい場所での聞き取りに苦労する、カクテルパーティー効果が得られないことです。
名前を呼ばれても、どこから呼ばれたのかわからないために、しばらくキョロキョロしてしまったり、何度も聞き返すことに引け目を感じて、会話に入るのをやめてしまう方もいます。
加齢性難聴(老人性難聴)では、一般的に両耳が同時に聞こえにくくなりますが、左右差がある場合は、補聴器で聞こえ方を補正してあげることで、より快適で安全な生活を送れます。
もし、片耳の難聴にお困りの場合は、ぜひ当センターにご相談ください。
ご相談は、ご本人・ご家族様を問いません。難聴の方の聞こえに合わせて、最適な補聴器を選び、フィッティングいたします。
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スタッフ一同、あなた様のお越しをお待ちしております。