補聴器はご高齢者になぜ必要?使い始めるタイミングと選び方

公開日:

更新日:

ご高齢の家族に聞こえの低下があれば、補聴器を使い始めるタイミングかもしれません。

しかし、ご高齢者の中には、補聴器を使うことに必要性を感じていない方もいらっしゃいます。

そこで本記事では、補聴器を使う理由と、使い始める時期について解説しています。

使いやすい補聴器の選び方も紹介していますので、参考になさってください。

補聴器を使う具体的な理由を知って、ご家族全員で難聴の方をサポートしましょう。

ご高齢者に補聴器が必要な理由

談笑する男性と女性

ご高齢の方に補聴器が必要な理由は、次の3つです。

・認知症の発症・進行リスクが高まる
・転倒リスクが高まる
・交通事故のリスクが高まる

それぞれ詳しく解説していきます。

認知症の発症・進行リスクが高まる

1つ目は、認知症の発症・進行リスクが高まるためです。

難聴が認知症のリスクとなる理由には、次の2つがあります。

①難聴によって音による刺激が減り、神経細胞が衰える
②周囲とコミュニケーションが取りにくくなり、孤立する

難聴は神経細胞の衰えだけでなく、孤立による抑うつリスクも高めます

抑うつも認知症の原因となるので、難聴を放置すると、認知の機能低下を加速する可能性が高いです。

難聴が認知症のリスクに!ご家族への補聴器のすすめ方

難聴と認知症との関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。

難聴が認知症のリスクに!ご家族への補聴器のすすめ方

転倒リスクが高まる

転倒リスクが高まることも、補聴器が必要な理由です。

聴力は、重力や回転、加速などの情報を脳に伝えています

難聴は脳に大きな負担をかけます。

音を聞くための負担が増えることで、バランスや歩行を司る脳のリソースを減らす場合があります。

それも転倒リスクが高まる一因といわれています。

特にご高齢者が転倒・転落すると骨折や頭部外傷で要介護状態になる可能性があり、注意が必要です。

「段差のない平地で起こる転倒事故の85%が、65歳以上の方によるもの」という研究結果がありますので、家の中で過ごす事が大半であったとしても、補聴器の使用を検討しましょう。

(出典:高齢者の転倒防止プログラム―跨ぎ動作時の障害物との距離 位置関係に着目して

交通事故のリスクが高まる

難聴になると車の接近に気付きにくいため、交通事故に遭遇するリスクが高まります。

車のアイドリング音は約63~75 dBですので、平均聴力が40以上~70未満の中等度難聴でも車の接近に気付きにくいかもしれません。

(参考:音についての基礎知識/東京都環境局)

また、運転をされる方にとっても、難聴は交通事故のリスクとなります。

「難聴と運転能力の関係を調査した報告によると、中等度以上の難聴のある高齢ドライバーは、運転中に簡単な課題を負荷されると、正常聴力または軽度難聴の高齢ドライバーに比べ運転能力や道路標識の認識が劣っていた」
(引用:加齢に伴う身体機能低下への対応/武原 格)

難聴の方は、聴力を補うために、常に脳に負荷がかかっています。

そこで、道路状況や標識の判断を求められる運転をすると、脳に過度の負荷がかかり、認知能力が正常な聴力の人に比べて下がりやすいです。

補聴器の使用によって、交通事故は被害者側・加害者側両方のリスクを下げられます。

ご高齢者が補聴器を嫌がる理由

耳が気になる女性

難聴になると、会話が聞き取りにくいだけでなく、認知症・転倒・交通事故リスクが高まるなど、さまざまな弊害を及ぼします。

しかし、ご高齢者の中には、補聴器の装用を嫌がる方もいます。

なぜ、ご高齢者は補聴器を嫌がるのでしょうか。

ここからは、ご高齢の方が補聴器を嫌がる理由を紹介します。

難聴の自覚がない

補聴器を嫌がる理由に、そもそも「難聴の自覚がない」ことがあります。

難聴は、視力が低下する事よりも不便を感じず、ゆっくりと進行するので、難聴の自覚を持ちにくいです。

特に独居の方や、他人と話す機会が少ない方は、聞き取りにくさを感じる機会がほとんどなく、テレビやステレオの音量も自分好みにできるので、難聴を自覚しづらいでしょう。

不便を感じていない

補聴器を嫌がるもう1つの理由は「不便を感じていない」からです。

同居のご家族がいる方や、友達とよく会う方、病院に行く機会が多い方だと、会話が聞こえないことに不便さやストレスを感じます。

しかし、1人でいることが多い方だと、そもそも不便を感じにくいため、補聴器の必要性を感じていない可能性が高いです。

難聴が年寄りくさく劣等感を感じる

「難聴は老人がなるもの」と固定観念を持っている方の場合、いざ自分が難聴になると、老人の仲間入りをしたように感じ、劣等感を抱きます。

また、極度に「年寄りくさいと思われるのでは?」と心配して、バカにされないように難聴の症状を隠すようになります。

難聴にネガティブな固定観念をお持ちのご高齢者には「加齢性難聴は誰にでも起こること」とご家族から根気よく説明していただくことが大切です。

装用・手入れが面倒

補聴器の装用や手入れが面倒だから、補聴器を避けている方もいます。

加齢とともに、手先の器用さが衰え、補聴器のような小さな機器の扱いに自信がなくなるためです。

補聴器は毎日の取り外しや定期的なメンテナンスが必要になります。

毎日細かい作業を行うことが負担で、補聴器を嫌がっているのかもしれません。

補聴器使用の最初の一歩がおっくう

補聴器装用までのステップを想像すると、おっくうだから補聴器を使いたくない方もいます。

補聴器購入に至るまでには、さまざまなステップがあります。

補聴器の大切さは分かっているものの、途中工程を考えると気が重く、解らない事も多いので最初の一歩が踏み出せません

この場合、ご家族が車で連れて行ってあげたり、補聴器選びに付き合ってあげると、ご本人の負担が軽くなります。

難聴の方は、店員さんとコミュニケーションが取りにくいことに引け目を感じる方もいるので、ぜひご家族様で補聴器選びに付き添ってあげてください。

手先の器用さに自信がない方でも、ご安心ください。

補聴器には、着け易くするための工夫が施されています。実際にお試しいただくと、想像よりも装用が簡単なことにお気付きいただけます。

メンテナンスは、購入店で承っています。

聞こえのお悩みからご購入後のメンテナンスまで、当センターにて一括で承っていますので、ご不安に思うことがあれば、遠慮なさらずスタッフにお伝えください。

当センターは駐車場完備ですので、お車でもお越しいただけます。

なかなか店頭まで付き添ってあげられない、というご家庭の場合、出張サービスもございますので、お気軽にご相談ください。

お近くの補聴器センターを探す

補聴器を早期に使うメリット

笑顔の高齢の男性

補聴器の装用は、聞こえにくさを感じたら早くご使用になるに越したことはありません。

理由には、次の2つがあります。

・言葉の聞き取りが正常なまま保たれやすい
・補聴器の取扱いに慣れやすい

それぞれ解説していきます。

言葉の聞き取りが正常なまま保たれやすい

補聴器を早期に使い始めることで、言葉の聞き取りが正常なまま保たれやすいというメリットがあります。

難聴で音が聞き取れない状態が長期間続くと、昔聞き取れていた言葉が、正常に理解しづらくなっていきます。

加齢性難聴では、カ行・サ行・タ行・パ行の音が特に聞き取りにくいと言われています。

例えば「カ藤さん」と「サ藤さん」が同じに聞こえるため、カ藤またはサ藤という苗字の理解が正常に行いづらくなる可能性が高いです。

言葉の理解力を保つためにも、補聴器の装用は有効といえるでしょう。

補聴器の取り扱いに慣れやすい

早期から補聴器を使うことで、年を重ねても補聴器の取扱いに困難を感じないのもメリットです。

自転車と同じ様に、1度使いこなしてしまえば歳を重ねてもずっと使い続けられるのが補聴器です。年齢と共に新しい物には慣れづらくなっていきます

「補聴器は使いたいが、なかなか慣れない」となる前に、早期の補聴器装用をおすすめします。

高齢者が補聴器を使い始めるタイミング

聞こえづらい高齢の女性

ご高齢者が補聴器を使い始めるタイミングは、以下の2つのどちらかに該当したときです。

・40db以上の中等度難聴以上
・普段の会話が難しくなったら

聴力が40db以上70db未満で中等度難聴に該当します。

「普通の大きさの声の会話で聞き間違いや聞き取り困難を自覚する。補聴器の良い適応となる。」
(引用:難聴(聴覚障害)の程度分類/日本聴覚医学会難聴対策委員会)
と言われているように、普段の会話で聞き返すことが多ければ、補聴器の使用を検討するタイミングかもしれません。

しかし、難聴の方の中にはご自身の聴力に自信がある方もいます。

聴力を数値で示すことで、ご納得される方もいますので、ご高齢の家族に補聴器利用を勧めたいとお考えの方は、当センターの聴力測定もご検討ください。

各店舗に最新設備を備えた防音室を完備しておりますので、落ち着いた環境で聴力を測定させていただきます。

ご来店予約はこちらから。ご予約はお電話でも承っています。

ご高齢者が使いやすい補聴器の選び方

難聴が改善するプラス面よりも、補聴器の取扱いが大変そう、というマイナスイメージが強いご高齢者様もいます。

そこで、ここからはご高齢の方でも使いやすい補聴器の選び方を紹介します。

着け外しのしやすさで選ぶ

1つ目は、着け外しのしやすさで補聴器を選ぶことです。

手先に自信がなくても着けられる補聴器を選ぶためにも、ぜひ補聴器専門店で、実機をご覧ください。

補聴器のタイプによってはツルツルしてつまみにくいものや、耳の形によって、装用が難しいものもあります。

ご本人が着けやすい補聴器を実際に「見て選ぶ」のがおすすめです。

充電式なら電池交換不要

補聴器をご使用の際は、定期的に電池交換が必要になります。

しかし、電池式の補聴器の電池は、約5~10mmのものがほとんどです。

この電池交換が補聴器装用のネックになっている方には、充電式の補聴器がおすすめです。

店頭にて充電式の使用感を体験したり、実際に触ってサイズ感をご確認いただく事をおすすめします。

骨伝導補聴器は加齢性難聴には不向き

骨伝導補聴器とは、頭蓋骨を振動させて、内耳に音を伝える補聴器です。

骨伝導は、内耳より外側の炎症などが原因で起こる「伝音(でんおん)難聴」には適用できますが、内耳・聴神経・脳の障害が原因で起こることが多い「感音(かんおん)難聴」には不向きです。

加齢性難聴は、内耳にある有毛細胞の障害が原因で起こる感音難聴なので、骨伝導補聴器では、残念ながら難聴の改善はできません。

高齢者の補聴器使用|まとめ

親子で編み物をする様子

ご高齢の方が、何度も会話を聞き返すようになったら、補聴器の装用を検討するタイミングなのかもしれません。

補聴器には、認知症の発症・進行リスク、転倒リスク、交通事故リスクを下げ、脳の言葉の理解力を保つ働きがあります。

しかし、難聴の方の中には、難聴の自覚がない方や、補聴器の使用を嫌がる方もいらっしゃいます。

難聴の方の補聴器に対する誤解を解き、補聴器をご使用いただくためには、ご家族様の協力が欠かせません。

補聴器には、ご高齢者様でも扱いやすい機種が沢山ありますので、実際にご覧いただくのが一番です。

当センターでは、さまざまなタイプの補聴器を取り揃えており、補聴器専門スタッフがお客様の生活スタイルや、聞こえの状態に合わせて最適な補聴器を提案いたします。

聞こえにくさを感じたら、いつでも当店にご相談ください。

スタッフ一同、皆様のお越しをお待ちしております。

お近くの補聴器センターを探す

補聴器用電池が150

1パック(6個入り)