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3月3日は「耳の日」です。
「耳の日」を病院や地域のイベントで聞いたことがあるかもしれませんが、起源を知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、耳の日の起源を紹介するとともに、超高齢化社会には欠かせない認知症と難聴の関係性、難聴のセルフチェックを紹介しています。
ぜひ、耳の日をきっかけに「聞こえ」のチェックをしてみましょう。
3月3日は日本も世界も「耳の日」
実は、3月3日はWHO(世界保健機関)が制定する「World Hearing Day(世界聴覚の日)」でもあり、日本だけではなく、世界的なムーブメントとなっています。
「世界聴覚の日」は、以前は「国際耳のケアの日」として知られていました。
「世界聴覚の日」としての初回イベントは2015年に開催されています。
世界では、耳と聴覚ケアのニーズのうち80%が満たされておらず、未対処の難聴による損失は全世界で1兆米ドルとの計算結果が出ています。
今年の「世界耳の日」のテーマは”Let’s make ear and hearing care a reality for all!”(すべての人の耳と聞こえのケアを実現しよう)です。
「地域社会や医療従事者の間で、まだまだ誤解のある聴覚障害のために行動しよう」というWHOのメッセージにもあるように、耳の日にはご家族の「聞こえにくさ」に寄り添うべく、皆さんで聴力検査に足を運んでみてはいかがでしょうか。
耳の日の起源
耳の日は、1956年に聴覚障害や耳の病気を持つ方への関心を高めることを目的に、日本耳鼻咽喉科学会が制定しました。
そんな耳の日ですが、耳の日の起源には、3月3日の「みみ」の語呂合わせ以外にも、以下の2つの起源があります。
- ・3が耳の形に似ている
- ・グラハム・ベルの誕生日
1つ目の理由は、数字の3が耳の形に似ていること、そしてもう1つは、グラハム・ベルの誕生日に因んだものです。
グラハム・ベルは、スコットランド生まれの科学者で、電話を発明したことで広く知られています。加えて、生涯を通じて聾教育に従事した人物でもあります。
視覚・聴覚・言葉を病気で失った「三重苦」の少女ヘレン・ケラーに、読み書きを教えた家庭教師のサリヴァン先生を引き合わせたのが、グラハム・ベルでした。
耳の日について考える際は、この3つのエピソードもぜひ思い出してくださいね。
難聴の原因と症状
難聴や聞こえにくさは、なぜ起こるのでしょうか。
原因を知っていれば、対処方法がより見つけやすいかもしれません。
ここからは、難聴の原因と、症状を判定するセルフチェック方法を紹介します。
難聴の原因
難聴には、次の3種類があります。
- ・伝音(でんおん)難聴:外耳や中耳の何らかの障害が原因で起こる
- ・感音(かんおん)難聴:内耳・聴神経・脳の障害が原因で起こる
- ・混合性難聴:伝音難聴・感音難聴が組み合わさったもの。どちらの症状が強いかは個人差がある
伝音難聴は、外耳道炎や急性中耳炎、滲出性中耳炎・慢性中耳炎・耳硬化症など「内耳より外側の器官」での炎症が原因で起こることが多く、薬物治療や手術で改善することが多いです。
一方、感音難聴は「内耳から内側」の蝸牛・聴神経・脳が原因で起こります。
生まれつきの先天性難聴だけでなく、慢性的な騒音が原因で起こる騒音性難聴、急性の突発性難聴、そして加齢によって起こる加齢性難聴も感音難聴です。
難聴の種類・原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「難聴にはどんな種類がある?難聴の特徴や原因を詳しく解説」
難聴のセルフチェック
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会が作成した難聴のセルフチェックを紹介します。
- □会話をしているときに聞き返すことがよくある。
- □うしろから呼びかけられると気づかないことがある。
- □聞き間違いが多い。
- □見えないところからの車の接近にまったく気がつかないことがある。
- □話し声が大きいと言われる。
- □集会や会議など数人の会話がうまく聞き取れない。
- □電子レンジの「チン」という音やドアのチャイムの音が聞こえにくい。
- □相手の言ったことを推測で判断することがある。
- □家族にテレビやラジオの音量が大きいと言われることがよくある。
引用:「『聞こえ』をセルフチェック」一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会
そのほか、次の症状を感じる方も難聴の可能性があります。
- □朝起きたら、急に聞こえにくくなっていた
- □夕方になると聞こえにくい
- □ずっと耳鳴り・耳が詰まった感じがする
- □めまいがある
- □騒音下にいることが多い
- □ストレスが多い
視力の低下と違って、聞こえの低下は自覚症状が出にくいので注意が必要です。
もし心当たりがあれば、耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けてみましょう。
耳の聞こえと認知症
2017年に国際アルツハイマー病学会(AAIC)が、認知症の危険因子の1つに「難聴」を挙げました。
その後、2020年にランセット国際委員会が「難聴は、高血圧・肥満・糖尿病と並ぶ認知症の危険因子の1つ」で、なおかつ「40%の予防できる12因子」の中で、難聴が「最も大きな危険因子」と結論づけています。
(参考:Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission)
認知症の予防に「難聴の改善」で期待が持てる理由には、次の2つがあります。
- ・音による刺激、脳に伝わる情報が増える
- ・コミュニケーションを円滑にして、認知症の危険因子である「孤立」を防ぐ
先天性難聴の場合はこの限りではありません。
しかし、それ以外の加齢性難聴や突発性難聴の場合には、補聴器の使用で難聴を改善することが認知症の進行を遅らせるために有効です。
聞こえと認知症については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「難聴が認知症のリスクに!ご家族への補聴器のすすめ方」
補聴器購入によくある質問
ここからは、補聴器購入の際によくある質問に回答します。
Q:補聴器はいつから使えばいいですか?
A:「聞こえの不自由さを感じたら、なるべく早く」が望ましいです。
聴力の低下は30代からすでに始まっています。
2021年の研究では「男女とも 40 代から聴力低下が一気に顕在化する傾向が示されています※」とも言われているため、年代に関係なく、聞こえにくさを感じたらまずは聴力検査を受けましょう。
※(引用:『10 代から 90 代までの男女別聴力変化パターン』/国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター)
Q:補聴器の価格はどれくらいですか?
A:補聴器にはさまざまなタイプがあり、価格にも大きな幅があります。
例えば、耳あなに入れる耳あなタイプは、片耳100,000~680,000円で、耳にかけて使う耳かけタイプは、片耳50,000~670,000円です。
補聴器は厚生労働省から医療機器として承認されたものを指します。したがって、消費税はかかりません。
補聴器のタイプと価格帯については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ、あわせてご覧ください。
▶「補聴器にはどんな種類がある?補聴器の特徴や価格・メリットを解説」
まとめ|耳の日は聞こえの検査に行こう
3月3日は世界的な「耳の日」です。
耳の日は、聴覚障害や耳の病気をもつ方への関心を高めると同時に、ご自身の耳や聴力にも注意を向ける日でもあります。
「最近ちょっと聞こえにくいけれど、なかなか改善のきっかけを作れない」という方は、耳の日をきっかけに聴力検査を受けてみませんか?
当センターでは、防音室で聴力検査を受けていただけるほか、補聴器のプロによる聞こえのカウンセリング、補聴器の無料体験も承っています。
ご自宅や介護施設へも無料で出張いたしますので、お気軽にご相談ください。
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耳の日には、ぜひ当センターへお越しください。スタッフ一同お待ちしています。
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